【地域】
 富山県小矢部市
【ジャンル】
 脱力スポット
【参考リンク】
 
小矢部市
小矢部市地図


2009/2/15  メルヘンの街 おやべ

 富山県小矢部市。
 
 ここは源平合戦の古戦場である倶利伽羅峠があるものの、それ以外は、これといった名所のないところでした。 
 でした、というのは、現在では、こんなものがあったりするからです。
 
 

自由の像。
  
 しかし、この看板に描かれているのは明らかにアメリカの象徴、自由の女神。 
 
 そして実際に行ってみると 
 
 
  
 
 明らかに自由の女神。
 アメリカのものとは明らかにスケールが違うが、自由の女神。
 そうか、自由の女神は”Statue of Liberty”、直訳すると「自由の像」なのだ、と妙に感心するものの、なぜ周りには何もないところに”自由の女神”があるのかは分かりません。
 
 その答えは、この自由の女神のすぐ近くに建っている、もう一つの銅像にあります。
  
  
 
 誰だ、このおっさん?と思われるかもしれません。
 この銅像のモデルは、小矢部市の元市長、松本正雄氏(1972年〜1986年在任)で、現在の小矢部市を語る際には外せない存在です。
 大正6年(1917年)にこの銅像がある小矢部市平桜で生まれ、東京帝国大学工学部(現在の東京大学)を卒業、北陸地方建設局長を経て、昭和47年に市長に就任。昭和61年に亡くなるまでの14年間、市長を務めた方です。
 この方が推進したある事業により小矢部市は全国的に有名になり、そしてそれを讃えて平成元年にこの銅像が市内外の有志によって建てられました。
 
 その事業の一端が先の自由の女神なのです。 
 
 もう一つ、事業例を見てみましょうか。
 
 
 
 この建物は皆さん、何かお分かりでしょうか。
 なにか歴史的な遺産に見るかもしれませんね。
 しかし、この建物の歴史は浅く、1983年に建てられたもので、蟹谷というところに作られた給水塔だったりします。 
 実は、この給水塔は多摩川の取水塔をモデルにしているそうなのですが、なぜわざわざそのようなものをモデルにしたのでしょうか。
 
 先にも記したように、これはある事業の一環です。
 この事業に基づき、市内35カ所の施設が上の給水塔のようになってます。
 
 その事業とは「メルヘン公共建築」と呼ばれ、そのことから、現在小矢部市は『メルヘンの街おやべ』と呼ばれるようになっております。

 松本元市長は”公共施設は地域のシンボルや誇りとなるよう周囲の自然環境にマッチした施設”ということを念頭に置き作ったそうです。
 そして、現在ではそれを通じて文化的な地域づくりや市民文化の意識高揚がはかられ、ロマンとメルヘンの世界が展開されている、とか。
 
 実際に市内を走ると分かるのですが、日本的な田園やら畑の中に、城やヨーロッパの大学をモデルにしたメルヘン建築が多数建っております。
 
 
  例えばこちら蟹谷小学校は東大をモデルにしたものですが
 
 
 
 このようなのんびりとした田園に建てられています。
 
 ”周囲の自然環境”とマッチしているかと問われると、なるほど確かに田舎の田んぼの中にこのような建物を見ることが多々あります。
 ただ、それは公共の施設ではなく、民間の宿泊施設で、一般的に”ラブホテル”と呼ばれるものですが。
 一方の民間施設は景観を乱すと言われるのに、それとよく似た公共施設だと文化的な地域づくりにつながる不思議。
 
 さて、百聞は一見に如かずということで、実際にメルヘン建築を見ていきましょう。
 
   
 
 まずはこちら、藪波保育所。一番最初に作られたメルヘン建築でおとぎの国「メルヘン」をテーマにしているとか。
 確かにユーモラスな形ですが、保育所らしい作りとも言えます。
 
 
 
 しかし、薮波公民館になると正面はローマの洞門、左右の塔はウェストミンスター寺院、中央部はイギリスのシェークスピア記念館と、有名建築をひとまとめにしたゴッタ煮的な施設となってきます。
 
 
 
 津沢保育園は迎賓館と旧霊南坂教会をあわせたもの
 
  
 武道館(左)は慶応大学三田図書館がモデルでサイクリングターミナル(右)は東京駅がモデルとか。
 
  
 
 埴生公民館(左)、東京都近代文学博物館がモデル。埴生保育所(右)は明治神宮外苑の絵画館と東京銀座の服部時計店をあわせたもの。
 
  
  
 津沢小学校(右)は早稲田大。蟹谷中(右)はオクスフォード。 
 
 初めの内は喜んで探していたメルヘン建築も、ここまでくるとお腹いっぱいという感じになりますね。こうなってくるとちょっとしたズレが嬉しくなってきます。
 
 
 
 たとえば、こちら小矢部市消防団藪波分団はチロル地方の山小屋をモデルにしているそうですが
 
  
 シャッターに描かれた火の用心が純和風というあたりのギャップがあるだけで嬉しくなってきます
 
 しかし、市のこういう政策が市民にも根付いてきたようで、このような動きがあったりします。
 
 
 

  ”メルヘンランドスケープ”
と名付けられた住宅地がちょうど作られているところでした。
 
 
 
  分譲地の入り口はいかにもメルヘン!
  漫画で見るお金持ちの家の入り口という感じになっています。
  
 
 
 
 さらに住宅街の中の公園には「白鳥の湖」や「ブレーメンの音楽隊」の像などがあり、やはりメルヘン
 
 
 
 そして建てられている家も、おとぎの世界から飛び出したような作りで「メルヘン都市」の名に恥じない作りとなっております。 
 
 
 
 
 ただやはり、あたりを見回すと、どう見ても日本ののどかな田園地帯が開けているわけですが。
 
 しかし、どうせ景観にそぐわないと言うなら、次に作るのは吉祥寺のまことちゃんハウス(楳図かずお邸)をモデルにしたらどうかな、などと無責任に思ってみたり。

 

 



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