【地域】
 石川県富來町
【ジャンル】
 その他スポット
【参考リンク】
 
ヤセの断崖地図

2004/3/14 能登旅行(9)

【ヤセの断崖】
 
 日も暮れかけた頃、訪れたのが有名なヤセの断崖。松本清張の代表作とも言える推理小説「ゼロの焦点」の舞台にもなり悲劇のヒロインが身を投じた場所なっているということなのですが、読んでないので分かりません。
 とりあえず火曜サスペンス劇場で、岩崎宏美の”聖母たちのララバイ”がバックに流れながら、スローモーションで人が崖から落ちていくシーンを思い浮かべればいいのでしょうか?
 
 高さ35mある断崖、断崖からその下を見下ろすと身がヤセる思いがするというところからその名がつけられたとか。
 断崖のところまで行くと柵がしてあり、このような看板が。 
 

 
 その看板を見つつ柵を乗り越えようとしたのですが、辺りはすっかり薄暗くなり、さらに日本海の荒波をつくる突風が吹いておりまして、その場には僕一人しかいなかっためは、もしも足を踏み外したら、誰にも分からないよななどと思って、躊躇したヘタレです。
 いや冬の日本海にさえない独身男性が一人崖から落ちたなんて言ったら、絶対に事故ではなくて世をはかなんでの自殺だと思われますよ。そうでなくても、ここは自殺の名所らしいのですから。
 
 
 
 で、まぁ先端まで行かずにその近くからとったヤセの断崖の先端(写真左)と下から見下ろした所(写真右)ヤセの断崖は、まさに海岸に飛び出ているので、見下ろすと僕が撮った写真の様に下が見えることなく海そのものだということで、飛び降りには最適の場所、柵から向こう側は死への滑走路と言ってもいいほどとか。(絶対にしませんけど、僕は)
 
 で、そんな自殺の名所ともいっていいほど危険なところなので、やたら目に付くのがこういう看板 
     
 
 そう自殺防止の標語看板なのですね。しかし、こういうのを見ると憂鬱な気分になりますね。果たして、この看板を見て自殺を思いとどまった人っているのでしょうか。
 だって「思い出せあの日あの時親のこと」って、僕みたいなさえない人間にとっては思い出すのは後悔の連続でして、死ぬ気が無くても思い出すと死にたくなってくるんですけど。親のことなんて思い出すと「ここまで生きていて申し訳ありません」とかそんな気になってくるわけでして。
 「遊歩道引返すも又人生」というのも変ですよね。だってここは一応観光地のわけで自殺する人より観光客の方が多いわけで、それに対し”遊歩道を引き返しなさい”と諭すというのは、観光地だけどここに来るなという矛盾した表現になっているわけです。

  
 
 さらに看板は続きます。”自殺する勇気があるなら生きてみろ!”これもかなり自殺しようとしている人には気に障る表現だと思います。というか”勇気”なんかで僕は生きたいとは思いません。そんな物騒な人生ならこちらからごめんです。そんな人生なら”生きる勇気”よりも”死ぬ勇気”を選びます
 ”死神を切れぬあなたに父母の声”っていうのもさっき書きましたけど、父母を思うと余計に申し訳なくなって死にたくなる人だっているんですよ。特に親に”早く孫の顔が見たいね”とか言われると三十路にもなっていまだに独り身でその気配すらないさえない男にとっては。そういう人のことを考えたことがありますかと問いたいです。
 
 
 
 そして最後にこれ”見えぬならこれから探そう生きる意味
 これ、僕の最も嫌いなタイプの表現。お前、何様のつもりよ的な高飛車な態度がすごく感に障ります。あのですね、何で赤の他人に「生きる意味を探そうよ」とか言われなければいけないんですか。じゃあ、あなたは明確な人生の意味を持って生きていますか?と逆に僕は問いたいです。
 僕は”生きる意味”とか”生きる価値”とかそういうことは出来るだけ考えないようにしています。そういうことを考えた時点で人間は死に近づいていくと思います。”意味”や”価値”で生きているなんて思ってはいけない。人間はそれほど偉くはありません。
 少なくとも”生きる意味がある””生きる意味がない”なんて言っている時点で自殺する人を説得することはできないと思います。
 可愛い娘さんが「一緒に生きる意味をさがそぉよ(はぁと)」とか言ってくれるなら、すごく説得力ありますけど。
 
 そんなわけで、”ヤセの断崖”は自殺看板展とも言えるところだったわけですが、そのコピーの方はいまいちでした。どうせなら、一般公募して”自殺防止看板”をズラーと辺り一面に並べてしまえば、自殺者もさすがにやる気が失せるのではと思います。
 ちなみに僕がここに自殺防止の看板を置くなら、極めて事務的な言葉にしたいと思います。「ここから飛び降りることは条例で禁止されております」とか、そんな感じに。そそっかしい人なら、「そうか法律で決まっているなら仕方ないな、他を探そう」とか思ってくれるかもしれないですから。
 
 もっとも、「3月14日のホワイトデーの日にどこへも行かず、自殺防止の看板について熱く語るような三十路のさえない独身男性でも生きているんだぞ」とした方が効果的なのかもしれませんが。
 
 
 
 ・・・ホント、よく耐えて生きているよな、オレ。
 


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